排出業者が情報提供を行う必要性
産業廃棄物は様々な業者から多種多様なものが排出されています。中には扱いを誤ると人の安全にかかわったり、環境を破壊する可能性があるものも存在します。このような廃棄物を安全に運送したり処分したりするために、排出業者から収集運搬業者や処理業者に対して、廃棄物に関する情報提供を適切に行う必要があります。
排出業者が適切な情報提供を行わなかったために発生した事故として以下のことが考えられます。
廃棄物の回収時 パッカー車で廃棄物を圧縮する際に、廃棄物の中に残っていたガスなどが引火・爆発し、パッカー車が炎上した事故。
廃棄物の保管時 排出事業者が、引火性がある廃棄物せであることを知らせずに回収をさせたため、処理業者に所で保管中の廃棄物が自然発火し、火災になった事故。
廃棄物の処分時 廃棄物の中に塗料(シンナー)が含まれていたため、破砕処理の途中で発火し、火災になった事故。
このような事故は、排出業者が事前に収集運搬業者や処理業者に対して情報を提供し、それに対して収集運搬業者や処理業者がそれに対応した注意をしていれば防げた事故です。排出業者は、収集運搬業者や処理業者を危険にさらすことの内容に、確実に情報提供が必要です。また、収集運搬業者や処分業者も自分たちの安全を守るために、排出業者からの情報の確認を怠らないようにしましょう。
排出事業者から収集運搬事業者や処理業者に提供しなければならない情報
以上のことから排出業者は産業廃棄物の適正な処理に必要な情報を委託契約書に確実に記載しなければなりません。この情報を記載していない委託契約書を締結した場合、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」という非常に重い刑事罰の対象になります。
- 産業廃棄物の性状や荷姿・・・固形なのか液体なのかといった廃棄物の具体的な性状や、「ドラム缶」や「コンテナ」などの廃棄物を実際に排出するときの荷姿を書きます。
- 通常の保管状況下で腐敗、揮発等の性状の変化・・・運搬や保管の際に注意すべき廃棄物の取扱い注意点を書きます。
- 他の産業廃棄物と混合することで生じる支障・・・廃酸や廃アルカリなど、他の物質と混合することで化学反応を起こす場合は、その注意点を具体的に書きます。
- 化学物質含有マークの表示に関する事項・・・産業廃棄物の中に石綿含有産業廃棄物が含まれている場合はその旨を記載します。
- その他特筆すべき注意点・・・特に他に注意することが有れば記入が必要です。
特別管理産業廃棄物を委託する場合の注意点
特別監理産業廃棄物の処理を委託する際は、委託するたびに、委託契約書に記載した情報提供内容と、特別管理産業廃棄物の種類と数量を記載した内容をあらかじめ処理業者に文書で通知することが必要です。この義務を怠ると、委託基準違反として3年以下の懲役または300万円以下の罰金という刑事罰の対象になります。特別管理産業廃棄物の場合は、「委託契約書での情報提供」と「委託をする際の事前の情報提供」の両方が必要になる点に注意してください。