委託契約書の委託料金は空欄のままで良いのか?
実務では、石油価格や金属の価格などの変動に合わせて、産業廃棄物の処理費が毎月変動するようなケースがあります。そのような場合委託契約書の「委託者が払う処理料金」をどのように書けばよいのでしょうか?「毎月変動する処理料金を書いても意味がないので空欄にしてある。」という方が非常に多く見受けられます。実は委託料金を空欄のままにせておくということは大変危険です。
委託料金を空欄のまま契約書を交わすということは、取引の基本条件である金銭面の合意に至っていない証拠ともいえます。そのため、排出業者は、不法投棄されるかもしれないと思いながら、委託しているのではないかと疑われることになります。その結果、最終的には、委託契約書の委託料金欄の記載がなかったという事実に基づき、排出業者に対し措置命令が発出されることになります。
毎月処理費が変動する場合の委託契約書の書き方
委託料金が毎月変動する場合には、毎月委託契約書を作成しなおさなければなりませんが、それではたいへんな手間になります。毎月の料金変動にも対応しながら、当初に交わす委託契約書の作成だけで乗り切るという方法があります。それは、毎月変動する料金を、「覚書」によって確定させ、委託契約書と覚書を一緒に保存するという方法です。
この場合、あくまでも契約の基本となるのは「委託契約書」ですので、委託契約書の委託料金欄には、「(委託料金については)別途覚書で決定する」等の記載をしておく必要があります。この一文を書いておかないことには、廃棄物処理法の要求する法定記載事項と、委託契約書と覚書のつながりという2つの条件を満たせないからです。
そして、委託契約書と覚書は、一体となって初めて効力を発揮する書類ですので、必ず一緒に保存しておく必要があります。毎月料金が変動するなら毎月覚書を作成し、委託契約書の一部として、委託契約書と同じ保存期間保存しておかなければなりません。
このように運用しておけば、月々変動する委託料金をカバーしながら、委託契約書の法定記載事項を満たすことが可能になりますので、それほどの手間をかけることなく7、安全に委託契約書を管理することができます。